見出し画像

QAエンジニアの視点から、もっと「生産性」を追求できる組織へ|GAテクノロジーズ新執行役員・柿崎憲 就任インタビュー

2023年11月1日、株式会社GA technologies(GAテクノロジーズ)の執行役員 Chief Architectに、柿崎憲が就任しました。

プレスリリース「新経営執行体制に関するお知らせ」

この記事では、柿崎の経歴や就任の背景、今後の目標や意気込みについて、インタビュー形式でお届けします。

Profile

柿崎 憲 / Ken Kakizaki
2003年、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)にて、QAエンジニアのキャリアをスタート。その後エンタメ系企業を経て、2008年ミクシィに入社。SNSサービスの品質保証部門の責任者を務める。2016年サイバードに入社し、モバイルゲームのQA業務を担当。2018年、GAテクノロジーズに入社し、QA部門の責任者を務める。

多彩な経験を活かしてQAエンジニアの道へ


— 最初に、これまでのキャリアについて教えてください。どのような経緯で、エンジニアを目指すことになったのでしょうか。

パソコンが身近にあり、気軽に触れる環境で育ったことが、今思うと大きいかもしれません。Windows95が出てくるよりも前から、友達や親戚の家に行くと、富士通のFMシリーズやPC-98のようなコンピュータが置いてあって、触らせてもらっていました。中学や高校でも、パーソナルコンピュータを扱う授業がありました。

その後上京をきっかけとしてPC自作が趣味になり、秋葉原でジャンクパーツを集めてきて組み上げる、といったことを楽しむようになりました。さらに当時はインターネット黎明期だったので、Webディレクターの仕事にも挑戦しましたし、DTM(デスクトップミュージック)もやっていましたね。

そうやっていろいろな経験を積む中で、「パソコンを使える」「映像・音楽を扱える」といったスキルが身についていきました。ソニー・コンピュータエンタテインメント入社時、それらのスキルが活用できるということで「たまたま」QA(Quality Assurance、品質保証)を任され、やってみたらハマった。そういう感じです。

— QAをご自身の専門分野として極めていこうと心に決めたきっかけは?

ミクシィ在籍中に上長から勧められて参加した、ソフトウェアテストに関するカンファレンスがきっかけだったと思います。

当時、QAエンジニアは「いずれなくなる職種」と言われていました。しかしいざQA関連のカンファレンスに参加してみると、自分より年上にあたる50代や60代の人々が非常にたくさん、おそらく1,000人近く集まっていて、その方々が活発に議論を交わしていました。

QAエンジニアの世界には、先輩と呼べる人たちがこれほど多くいて、これほどいろんなことを考え続けている。その事実を目の当たりにしたとき、QAエンジニアは「なくなる職種」ではなく、むしろ「今後も長く必要とされる職種」なのだな、と実感したんです。それで、QAの分野でやっていこうと決めました。

自分のスキルを活かして社会課題に挑戦できる組織

— その後、GAテクノロジーズに入社されます。何が入社の決め手でしたか?

GAテクノロジーズのことは、転職エージェントからのお声がけで知りました。不動産業界で働いた経験はなかったのですが、自分の中では業界や職種よりも「自分の技術で課題を解決したい」という気持ちのほうが先にあって。

当時プライベートで家を購入した際、いたるところで名前や住所を書かされまくり、これは大変だなあ……と思っていたんですよね。こういう不動産業界の課題をテクノロジーで変えていくという、GAテクノロジーズの理念に共感を覚えました。

今持っているQAのスキルを使い、それをさらに高めて、自分の技術で社会的な課題に挑戦できるのはハッピーだと感じ、入社を決めました。

— QAチームは、GAグループが有する非常に多くのプロダクトを横断的に管理しています。この体制の構築にも関わられたとか。

当初QAチームは、少数の有志メンバーだけで構成されていたんです。もちろん精鋭が集まってはいましたが、特にセキュリティ領域について、専門チームを名乗るには課題が残る状態でした。

そこにQA責任者として入るにあたって、専門知識の浸透に加えて取り組んだのが「仕組みづくり」です。限られたリソースで多くのプロダクトを見るために自動監視システムも構築し、多くのアプリケーション、セキュリティを管理できるようになりました。セキュリティに関しては、全グループのプロダクトをQAチームでカバーする状態を実現できています。

各々の主体性を持ち寄り、チームで品質にこだわる


— 柿崎さんは、育成・組織づくりの領域でも実績を出されてきました。マネジメントにはどのように取り組んで来られましたか?

30代序盤からエンジニアリングマネジメントに取り組み、組織づくりに注力してきました。昔はなんでもかんでも自分でやりたがる人間だったんですが、エンジニアとしてキャリアを重ねる中で、自分ひとりでできることはほんのわずかだと気づいたんです。そこから「チームとしてどういう出力ができるか」という視点で物事を考えるようになりました。

GAでは、メンバーにきっちり裁量を渡すことを特に意識しています。みんなが働きやすい場を整えるには、一人ひとりが自走できる状態を作ることが大切だと思っています。

これは、自分自身のやりたいことをしっかり持ち、会社にどう貢献していくかを主体的に考えられる人が集まるGAだからこそ、実現可能なことでもあります。今後の採用でも、自分の世界観を持っている人が集まってきてくれたら理想的ですね。チームの規模拡大を見据えたとき、キーパーソンになれる人がたくさん必要になりますから。

— GAだからこそ大きな裁量を渡せるとのことですが、ほかにもGAの強み、魅力だと感じる部分はありますか?

「品質へのこだわり」を強く持っている部分は強みです。私自身も日々の業務の中で「良い開発をしているな」と感じますし、実際、コード採点ツールでも良いスコアが出ました。ここまで高いレベルに行けるのは珍しく、貴重なエンジニアリング組織だと思います。前CTOの遠藤をはじめ、これまでの取り組みがしっかり浸透している証だとも感じます。

「HEART(誠実。素直。人としてちゃんとしよう)」をはじめとする「GA GROUP SPIRIT(GAGS)」の考え方もとても好きです。自分自身、ほうっておくと怠惰になってしまう人間なので、自分を律するのに活用しています。毎日リマインダーをセットし、一人で「GAGS唱和」という時間を設けています。メンバーに求める前に、まずは自身がGAGSを体現したいと日々考えています。


「生産性」の解像度を高め、全員でテクノロジーを活用できる会社へ

— 執行役員に就任するにあたって、特に注力したいことを教えてください。

「生産性」をより強く意識したいですね。社内でもよく使われる「生産性」ですが、定義が曖昧になりやすく、ふわっと語られがちな概念でもあります。そこで、社内のプロダクトを横串で見てきたQAエンジニアならではのレンズを通して、何をもって生産性とするのかをしっかりブレイクダウンしたいと思っています。

QAという業務領域には、「品質保証」に加えて「品質管理」の側面もあります。何かを管理するとき、必ず出てくるのが「データ」です。そのデータを活用して現状を見える化し、改善していくというのがQAの考え方です。

例えば「エンジニアの数が足りない」という課題も、データを用いることで「どこにどのくらい足りないのか?」「本当に足りないのだろうか?」と解像度を上げて考えられるようになります。

このような形で、エンジニアのアウトプットとプロダクト自体の生産性、そしてGAという会社の業績が、どのように紐づいていくのかを明らかにしたいと考えています。そういった関係性を、社内のメンバーにわかりやすい形で提供し、議論の活発化に貢献できたらいいですね。

— エンジニア組織や会社全体について、最終的に期待する理想の姿とはどのようなものでしょうか?

エンジニア組織にはまだ改善できるところがたくさんあると思っていますが、特にコミュニケーションをもっと活発にしたいですね。活動が社内に閉じている部分があるので、社外に対する発信を積極的に進めていきたいです。また社内においても、各部門に散らばっているエンジニア職種どうしの交流がまだまだ足りない部分があると思います。コラボレーションをもっと活発にできると理想的だと思います。

会社全体については、「全社員がテクノロジーを活用できる」という状態を目指したいです。GAには非エンジニアの人もたくさんいて、一緒に働いています。エンジニアでない職種も含め、すべての人が、自然にテクノロジーを活用できている世界にしたいと思っています。現場レベルで、すでにExcelのVBAを書いて手元で業務効率化している非エンジニアのメンバーもいらっしゃいます。そういった活動を含めて、全社員にテクノロジー活用が100%浸透しているような、そんな会社になれたら、面白そうですよね。


撮影:今井淳史
ライター:瀬良万葉

※本記事は作成時点での情報を参考にしております。最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。