M&A業界は、テクノロジーと人間力でさらに飛躍する。スピカコンサルティングのグループ会社化で描く、M&A仲介DX事業の新たな未来
2023年6月14日、GA technologiesは株式会社スピカコンサルティングのグループ会社化を発表しました。
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今回のグループ会社化に至った背景、そしてGAグループの新規事業であるM&A仲介DX事業が描く未来とは?株式会社スピカコンサルティングの代表・中原と取締役・松栄、そしてGA technologies代表・樋口がそれぞれの思いを語りました。
Profile
企業価値を上げ、本当に満足できるM&Aを実現
ー まず、スピカコンサルティングの事業内容について教えてください。
中原 駿男(以下、中原):
スピカコンサルティングでは2つの事業を展開しています。ひとつは、M&Aの専門家が提供する、企業価値を上げる「バリューアップコンサルティング」。そしてもう1つは、1人の担当者が1業種に特化し、業界の専門性を極めた「完全業界特化M&A」です。
ー バリューアップコンサルティングとはなんでしょうか?
中原:
世の中には、戦略やITなどさまざまなコンサルティング会社がありますが、私たちは「バリューアップコンサルティング」と称し、徹底的に「企業価値の向上」に着目したお手伝いをしています。私たちは企業価値向上を実現するために必要なビジネスモデルの提案、システム導入、人材採用、リスク排除など提案し実行することで、飛躍的なBS・PLの改善を通じた株式価値の向上を実現しています。
松栄 遥(以下、松栄):
M&A仲介のみならず、業界に特化したコンサルティングチームを組成し、売却前のバリューアップコンサルティングおよびM&A戦略立案実行の支援からお手伝いしていることは、スピカコンサルティングの大きな特徴です。売主にとっては、対象となる業界特有の論点を事前に整理し対策できることで、売却時の企業価値向上に繋がります。
近年、ブローカー的な仕事で留まるブティックが増えています。一方で、スピカコンサルティングは、譲渡オーナーから「1番良いお相手を探してくれて、さらに業界における論点がわかっているのでスムーズに売却でき非常に満足している」という言葉をいただきます。買い手企業にとっても、「スピカさんから提案される案件は、本当に知りたい情報が盛り込まれている」と投資検討しやすい状態を作り出していると感じています。
“売りたい”“買いたい”の単なるマッチングではなく、“売る前”“買う前”の戦略から関わらせていただくことで、M&A仲介領域において最も品質レベルが高く、業界変革をリードできる「コンサルティングプロフェッショナルファーム」として独自のポジショニングを築いています。
ー 2つ目の特徴である、完全業界特化M&Aについて教えてください。
中原:
業界が違えば当然商習慣、経営課題などは変わってきます。業界構造、業界の歴史と未来、その業界で働く社員の生活など、私たちはそれらを理解した上でM&Aの提案をします。M&A業界の中でも最も洗練された提案書や契約書、バリュエーションと呼ばれる企業価値評価の資料によって、結果的に満足度が非常に高いM&Aを提供しています。
松栄:
関わるすべての方が真に満足するM&Aを実現するためには、深い業界理解と高い専門性を持ったM&Aプレイヤーがディールをコーディネートしていくことが必要です。そのため当社では、完全業界特化チームを組成し、チーム内で業界特有の論点や、買い手企業の情報や業界M&Aにおける契約書やバリュエーションのノウハウを細かく溜め込んでいます。お客様には、業界動向の最前線をお届けできると同時に、高い提案力を持った立ち位置でM&A仲介事業を展開しています。
経営課題を根本から解決したい
ー すべての方にとってベストなM&Aを目指しているのですね。創業のきっかけはなんだったのでしょうか?
中原:
創業までにM&A仲介業界に8年身を置きました。
M&A仲介業界のキャリア初期では、北海道、岩手、新潟の地方銀行とともに数多くの事業承継のお手伝いをさせていただきました。提携していた銀行から、多くの後継者がいないお悩みをお持ちの経営者さまをご紹介いただき、それをM&Aという手法でともに課題解決していきました。当時は、小売、卸、製造、物流、飲食、宿泊、建設、病院、介護など、本当にさまざまな業種の経営者さまをサポートさせていただきました。
無事に成約すると、譲渡オーナーの皆様から非常に満足いただくのですが、私の中では小さな疑問が残ることがありました。「もっと業界への理解が深まれば、さらにスムーズに寄り添ったM&Aの提案ができるのではないか?」という想いがだんだん強まってきたのです。
ちょうどその頃、新興のM&A仲介企業が生まれました。「チャレンジしてみたい!」という思いから転職し、取締役にまでなりました。そこでは、業界のことを理解してより高い提案をしたいという想いから、業界特化チームを立ち上げました。最終的に営業組織をすべて業種別にわけることはできませんでしたが、取締役として業界特化の業界再編戦略本部を立ち上げ、特定の業界支援をミッションとする組織を立ち上げました。業界特化によって、バリュエーションやマッチング、ディールにおける売主様の負担感など、満足度は非常に上がったと思います。一方で、今度はM&Aという単独ソリューションでは解決しきれない経営の課題も多く見えるようになりました。
ー 根本的な経営課題の解決に特別な思いがあるのですね。
中原:
私の父は経営者で、化学系の製造事業を展開していました。幼いことからずっと「強い人間」のイメージだった父ですが、私が大学3年生のある日、くも膜下脳出血で倒れました。そのとき、初めて「会社を継ぐ気はあるか」と聞かれました。子供の頃から父の経営者としての背中を見て来たので、いつかは自分も経営者になりたいという気持ちはありました。しかし、化学には興味を持てず、大学でも専攻していなかったので、正直なところ自分が父の会社を継ぐイメージはどうしても湧きませんでした。
その後、父はM&Aで会社を売却しました。その出来事がきっかけで「後継者不足で悩む経営者の力になりたい」と思うようになったんです。M&Aには運命的な使命感を感じております。
松栄:
私はキーエンスを退職後から、一貫してM&A業務に関わっています。2019年3月にはM&Aの仲介会社を共同創業しました。当時から一貫して「業界特化で専門性の高いM&Aアドバイザリーサービス」「M&A前のコンサルティング」「地域特性を生かした地方展開」を柱に事業展開してきました。残念ながら役員陣の方向性の違いにより、別の道を進むことになるのですが、私としては事業承継のお手伝いやM&Aの仕事を天職だと感じていました。そして、これからの時代に必要とされるブティックの姿として、先に挙げた要素は必須条件だと信じていました。
スピカコンサルティングへの参画を決めたのは、日本で最もレベルの高い洗練されたM&Aサービスを提供するプロフェッショナルファーム作りに挑戦したいと感じたことが大きな理由です。スピカという社名に込めた通り、お客様はもちろんのこと、社員や私たち自身を含めて「スピカに関わる全ての人が星のように輝ける経営」をしていきたいと思っています。
お客様にとって真に価値あるサービスのために
ー 今回のM&Aに至った経緯を教えてください。
樋口 龍(以下、樋口):
GAグループでは、不動産DXで培った強みを活かせるM&A領域ビジネスの可能性を模索しており、2022年8月には株式会社MtechAを立ち上げました。私は、このM&A仲介DX事業をGAグループの第3の柱に育て上げたいと思っています。そのため、並行して事業スピードを上げるためのパートナーを探していました。優秀な方にたくさんお会いしましたが、中原さんと松栄さんはその中でも印象的な存在でした。スピカコンサルティングはメンバーも非常に優秀ですし、品質が高いM&Aサービスを展開されており、ぜひ一緒に仕事がしたいと思いました。
M&A業界は市場が急成長しており、他業種から多くのプレイヤーの参入が相次いでいます。同時に、業界での歴史が長い企業が、強い影響力を持っている領域でもあります。GAテクノロジーズの創業事業は不動産であり、いくら思いが強くても自分たちだけで挑むのは難しいと感じていました。
スピカコンサルティングは、バリューアップコンサルティング、完全業界特化など、お客様目線で何がベストかを考え抜き、サービスにこだわっています。GAテクノロジーズでも、不動産領域をテクノロジーの力で変えてきたという自負がありますし、エージェントの質にもかなりこだわっています。お客様に向き合う姿勢や目指している世界観に共通点を感じ、他にはない会社だと思いましたね。
ー GAグループへの参画を決断された理由を教えてください。
中原:
一番の理由は樋口社長です。GAグループにおいて、MtechAを通してネット×リアルによる新しいM&A業界を作るという樋口社長の姿は、まさに私たちが目指している方向性に近いものでした。さらに樋口社長には、不動産業界において過去に営業会社からテック企業へと大きく舵を取り、それをやり遂げた実績があります。
私たちスピカのコンサルタントは、M&A業界において圧倒的な実績と絶対的な自信があります。コンサルティング×M&A×完全業界特化のビジネスモデルも市場ニーズに応えているものだという自負があります。
ですが、M&Aという業界は、実はレガシーでM&Aプレイヤーへの依存度の高い業界です。当社は創業時から「テックファースト」を掲げこの解決方法を考えておりましたが、時間がかかることだと考えていました。資本政策を考える中で、欲しい経営資源を最速で手に入れるためにも、私たちはM&Aによってスピカ社を売却するという決断をしました。
松栄:
GAグループは、不動産業界というレガシーでアナログな業界にテクノロジーを持ってイノベーションを起こしている企業です。「“テクノロジー“と“人間力“を持って、人々に感動を生む。」これはまさにM&A業界が必要としている要素です。当社にはM&A業界において、ずば抜けた人間力を持つコンサルタントが在籍しています。各業界で圧倒的な実績を保有し、非常にレベルの高い仕事をしています。ただ、さらに企業を飛躍させるためにはITを武器にイノベーションを起こしていかなければいけません。
代表の樋口さんは、自らが先頭に立ち、イノベーションを体現されています。G Aグループの一員になることで、M&A業界に革新をもたらし、テックファーストで“徹底的に顧客思考”のM&Aサービスをお客様に提供できると考え、決断しました。
M&Aと不動産、発展の鍵は「テクノロジー」と「人間力」
ー 今後の展望について教えてください。
樋口:
GAグループはこれまで、不動産テック領域で成長してきました。また上場後、イタンジをはじめ9件のM&Aを実施したこともあり、MtechA設立時には「自社の新たなM&A先を探すための会社」と誤解されることもあるほど、M&A仲介領域に本気で挑戦すると思ってもらえませんでした。
現在、GAグループには不動産テック領域の「RENOSYマーケットプレイス事業」「イタンジ事業」という2つの柱があります。繰り返しになりますが、私はM&A仲介DX事業をGAグループの第3の柱にしたいと考えています。「Our Ambition」で掲げているとおり、私たちは本気で世界のトップ企業を目指しています。M&A仲介DX事業の成長は、これを達成する上で欠かせない要素です。
今後は、スピカコンサルティングの強みであるバリューアップコンサルティングと完全業界特化M&Aをベースに、テクノロジー活用を推進します。テクノロジーによってサービスを向上させ、業界に新しい価値やイノベーションをもたらしたいと考えています。
中原:
GAテクノロジーズと手を組むことで、テクノロジーと人間力の両方で相乗効果を狙えると感じています。自分たちだけでM&A領域にテクノロジーを持ち込むことは容易ではありませんが、GAグループとして新たなサービスを実現したいと考えています。
松栄:
不透明感が残るM&A業界に、大きな一手を打てることを楽しみにしています。また、私たちスピカ社自体が売却による経営統合を経験することで、事業承継や成長戦略に課題を持つお客様への言葉の重みも違ってくると思います。
樋口:
人生において、不動産を何度も売ったり買ったりする人はごくわずかです。だからこそ、これまで不動産体験が不便でわかりづらくても、お客様は「人生に一度だから」と我慢していました。アメリカでも日本でも、不動産が他業界に比べてテクノロジー化が遅れているのはそのためです。
しかし、50年後も同じというわけにはいきません。GAグループは、お客様目線でサービスのあるべき姿を考え、そのために投資してきた自負があります。M&A仲介の領域でも、同じ志を持つ仲間ができたことは非常に心強いです。
中原:
人生に一度あるかないかという取引であり、テクノロジーが活用されていないという点ではM&Aも同じです。人生を賭けて育てた会社を売却するのですから、どんな体験であっても、お客様は「あれでよかった」と思うしかありません。そこにあぐらをかくのは言語道断であり、真に価値あるサービスを追求し続けなければいけません。そのためには、テクノロジーと人間力の両方が必要です。
松栄:
ともに属人性の高いビジネスですし、テクノロジーへの投資が遅れているのは大きな課題です。テクノロジーと人、どちらかに偏るのではなく、両方の質を上げていくことが今後のビジネスにおいて非常に重要だと感じています。
樋口:
「低額で均一価格」という特徴はテクノロジーと相性がいいのですが、反対に「高額で一物一価」は、テクノロジーだけではうまくいきません。ネットだけでは意思決定できないため、専門性と人間力を持ったエージェントのサポートが必要不可欠です。
ビッグテックでもこれまで成し遂げられなかったことですが、GAグループの強みを活かし、世界的なサービスが実現したいと考えています。
中原:
私たちはこれまで、数多くのM&A実現をサポートさせていただきました。スピカコンサルティング単独では、M&A領域にテクノロジーを持ち込むことは容易ではありませんでしたが、GAグループとの経営統合を通じてイノベーションを起こせると信じています。
スピカコンサルティングは変わらず「M&Aを通じて、輝く未来を実現する」ことをお客様に約束し 、真に価値あるサービスを追求し続けていきたいと考えています。
撮影:今井淳史
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